教育改革
 

インターネットを使えば大抵のことは調べることができる現代の情報化社会において、従来型の「知識を詰め込み、記憶するだけの学習(受動的な学修)」で身に付けた「みかけの学力」は、もはや意味のないものとなりつつあります。今後10-20年程度で、従来人間にしかできないと思われていた仕事や職業の半分はロボットや人工知能に取って代わられるといわれています。現在の高校生あるいは小中学生が大学を卒業する頃には、現時点ではまだ存在していない新しい職種が数多く誕生していることでしょう。

その様な時代においても生き抜いていくために、これからの教育は下記の「学力の三要素」から構成される「確かな学力」の育成が重視されています。

「学力の三要素」

  1. 「基礎的な知識および技能の修得」
  2. 「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力」
  3. 「主体的に学修に取り組む態度(アクティブ・ラーニング)および多様な人々と協働して学び合う力」

分子応用化学コースでは、これらに対応した教育プログラムの改革にいち早く取り組み、カリキュラムの見直しだけでなく、海外や国内で成果を上げている新しい教育方法を取り入れた「特色ある授業」の導入を積極的に進めています。(これらの取り組みは、学内外からも高い評価を受けています)

1.「受動的な学修から能動的・主体的な学修習慣への『転換』」を促す特色ある初年次教育

私たちは「学力の三要素」の中で、③の「主体的に学修に取り組む態度」が最も先に身に付けるべきものと考えています。なぜなら、主体的な姿勢で①の「基礎的な知識及び技能の修得」に臨んだ場合には、受動的な姿勢で臨んだ場合に比べ、獲得できる知識や技能が遙かに深いものになるだけでなく、②の各能力の修得にも自然とつながっていくからです。

多くの大学で取り入れられている「初年次ゼミ」が、主に『大学生としての基礎的な学修スキル』を教えるために行われていることが多いのに対し、私たちのコースで行っている「分子応用化学基礎ゼミナール」(以下「応化基礎ゼミ」)は、『大学における学修の目的意識を芽生えさせ、能動的・主体的で自律した学修習慣への転換』を目的に、キャリア教育、日本語ライティング演習、化学基礎実験、化学英語、問題解決形式の課題研究、英語で学ぶ課題研究といった内容を組み合わせた多彩な初年次教育プログラムを、一年間を通じて各週2コマ(3時間×30週)という他大学や他学科にはない充分な時間をかけて実施しています。

また、「応化基礎ゼミ」では、授業時間外の学修時間や目標・反省点、授業の出欠状況を記録した「学修履歴」を毎週提出することを義務付けています。これにより、高校までの間に身に付いた学修習慣が大学入学後に大きく失われることを防ぎ、自己管理力や時間管理力が確実に身に付く環境を提供しています。(夏期休業中も主体的な学修を維持・継続してもらうため「夏休みの課題」を行っています)

さらに、各授業テーマの終了時や、前期と後期の最終回には他の授業科目や課外活動を含めた大学生活全般に関する「達成度自己評価シート」を、後期の初回には「前期の成績自己分析シート」を、さらに後期の最終回には十年後のなりたい自分の姿を想像して「未来履歴書」を作成することで、将来の夢や大学での学修目的・目標をより明確なものにします。この様な「振り返りと目標設定」を繰り返し行うことで、学生自身が「PCDAサイクル」を回し、受動的な学修姿勢から「自律した能動的・主体的な学修姿勢への転換」が達成されます。

2.「主体的・能動的な学修習慣の『継続』」と「確かな基礎学力の『修得』」をサポートする学修環境

1年次の「応化基礎ゼミ」で修得した「主体的な学修習慣」と「PDCAサイクル」の継続をサポートするために、分子応用化学コースでは、e-ラーニングシステムなどICTを活用した「予習を習慣にする環境」、「授業へ主体的に参加する環境」、「学修を振り返る環境」を2・3年次の「全ての必修科目」において提供しています。

  1. 「予習を習慣にする環境」として、「WEB予習テスト」を実施しています。このWEB予習テストを通じて、次回の講義内容を自宅などであらかじめ学修(予習)するため、講義の理解度が向上します。
  2. 「講義授業へ主体的に参加する環境」としては、クリッカー等を用いた「双方向授業」を実施しています。この様な双方向型の授業環境によって、予習で得た知識を利用する機会を提供し、授業への参加意識の向上や知識の活用へとつなげます。
  3. 「学修を振り返る環境」として、「WEB学修到達度テスト」を実施しています。学修到達度を自分でいつでも確認できるため、次の学修へのモチベーションが向上します。

この「3つの学修環境」で構成される学修サイクルは「主体的な学修習慣の定着を通じた確かな基礎学力の獲得」を加速します。

「主体的な学修習慣」と「確かな基礎学力」を獲得する学修サイクル