都市システム科学域長の挨拶 of 都市システム科学域 ホームベージ

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 都市とは何か?この問いに皆さんはどのようにお答えになるでしょうか。人口が稠密な地区、産業や交通が発達した地域、高度な文化やサブカルチャーが花開く場所...様々な表現が考えられますが、今の私は、ある種の心情がその本質である
と答えたいと思います。
 一元的な価値観や原理主義が様々な場で軋轢を生む昨今ですが、都市はそれにとらわれず存在することが許される場、多様な考え方や生き方を包摂する器、萌芽しつつあるもののインキュベータであると言えるのではないでしょうか。都市は、いつの時代もそのような特質をもって歩んで来ました。
 学術の世界に目を移せば、もちろん原理は存在します。都市の空間、経済、社会、制度等についてそれぞれの原理を正しく捉えることは重要です。しかし、「都市」を学ぶ者は原理主義に陥ってはならないでしょう。新しく当学域に入学される方の中で「都市科学」という学部で学ばれた方はいないと思います(近いうちに誕生するかもしれません)が、各自の専門分野を深く極めながらその外へと視野を開いていくこと、個々の原理を確実に把握しながら複眼的な視点で物事を捉え直そうとすることが当学域に学ぶ皆さんには求められます。
 原理主義的な考え方から最も遠い存在 -それがまさに都市なのです。

 都市システム科学域長 玉川英則