技術者教育認定の意味するもの

4. 技術者教育認定の意味するもの

  JABEEによる技術者教育の外部認定システムは,技術者教育の実施主体に強制的な構造改革を迫るものでありません.また「かくあるべし」という画一的な認定条件を提示しているわけでもありません.しかし,前項で示したように,わが国の技術者教育のパラダイムに,実質的には大幅なシフトを引き起こすことになります.そのパラダイムシフトの一部は,


  • TeachingからLeamingへ
  • 個人学習からグループ学習あるいは協調的学習へ
  • 暖昧な社会契約から明確な学習目標達成の契約ヘ(カリキュラムの約束より,「卒業生にはこういう能力・知識があります」という社会に対する保証を重んじる方向性)
  • 教育評価の軽視から,教育方法とその評価方法は不可分であり,教育者の責任であるという自覚へ
  • 知識偏重教育から実社会の問題解決あるいはエンジニアリング課題への積極的な取組へ

と表現することができます.これが,JABEEによる技術者教育認定システムの第一の意義としてあげられます.そしてその第二の意義は,2000年4月に一部改正された技術士法にあり,わが国技術者の社会的地位向上と国際的認知への寄与と言えます.技術士法一部改正(施行は2001年4月)によって,文部科学大臣か指定する認定教育課程(すなわちJABEE認定の技術者教育プログラム)の修了者は,技術者に必要な基礎教育を完了したものと見なされ,技術士第一次試験を免除されて直接「修習技術者」として実務修習に入ることができると規定されています.これにより,大学における技術者教育と技術者資格とのリンクが確保されたことになります(図2).


図2:大学における技術者教育と技術資格の流れ