学部長メッセージ

「“大都市東京の理想像”という視点から学問を究める」 

都市環境学部長
都市環境科学研究科長
髙木 慎介

都市環境学部について

東京は世界を代表する大都市です。都市に関わる課題は広範であり、一つの学問領域だけでは対応できません。都市環境学部では、従来は個別に活動していた各学科が、“都市”という視点を取り入れ、学問の枠を超えた教育・研究を展開しています。具体的には、都市環境を構成する「自然」、「人間」、「社会」、「物質」、「エネルギー」、「情報」、「構造物・人工物」、「公共政策」などをキーワードとして、「地理環境学科」、「都市基盤環境学科」、「建築学科」、「環境応用化学科」、「観光科学科」、「都市政策科学科」の6つの学科を設置し、都市に関わる課題を学際的・文理融合的に探究しています。最近では、生成系AIの台頭もあり、従来型の学問体系は大きな変容を迫られるでしょう。知識の蓄積を重視するのではなく、自ら課題を発見して多面的な観点から課題解決する能力を高めることが重要です。都市環境学部では、個別の学問を深掘りしつつも、「工学」、「自然科学」、「人文社会科学」を融合した総合的アプローチから、多様な都市環境問題を解決しようとする人材を輩出したいと考えています。そのために、「学際的アプローチ」、「副専攻の導入」、「実験・実習・フィールドワークや課題解決・提案型演習の重視」、さらには「多彩なインターンシップ」などを通して、実践的かつ多角的な判断能力や構想・提案力を養っていきます。また、留学期間に応じた多様な留学支援プログラムがあり、学部生でも海外の最先端の研究に触れることができるように配慮しています。 

都市環境科学研究科について

現代社会では、世界のグローバル化が進んでいます。都市環境学部では、より専門性を深め、広い視野を持つ人材を育てるために、大学院における教育・研究も重視しています。そのために、研究科内に「地理環境学域」、「都市基盤環境学域」、「建築学域」、「環境応用化学域」、「観光科学域」、および「都市政策科学域」の6つの学域を設置しており、これらの学域での研究は、それぞれの分野の特徴を反映した高い水準を誇っています。実際に大学院進学率は平均で60%を超え、学科によっては80%を超えています(2023年度実績)。講義科目の英語化も進めており、学域によっては講義の約50%を英語で行っています。博士後期課程まで進学し、博士号を取得した研究者も多く輩出しています。都市環境科学研究科は、『都市の環境』を基軸とした研究・教育を行う明確な理念を持つ組織です。都市環境科学研究科では、学生の皆さん一人ひとりが都市の未来を創造する力を身につけ、持続可能な社会の実現に向けて、さらには、自身の幸せのために、主体的に行動できる人材を輩出したいと考えています。そのために、各学域独自の研究活動に加え、「学域横断型講義」、「さまざまな海外派遣制度」、「都立大研究奨励奨学金」、「大学フェローシップ創設事業」などにより学生さんの活動を支援しています。

今後、いわゆる「文系・理系」という分類は、形骸化していくと思います。政治や経済などの「文系的な学問」は、物理や化学などの「理系的な学問」と結びつくことで、より本質的な考察や議論が可能になります。ここでは詳細を省きますが、科学的視点に立つと、人間は自然の一部であり、自然を深く理解せずして人間を語ることはできません。すなわち、文系(人文社会科学)と理系(自然科学)は密接に結びついており、それらがシームレスに統合されてこそ、人類の叡智は真に開花すると考えます。まさに都市環境学部/研究科は、このような学問への見方に適合した場であり、多くの皆さんにここで学んで欲しいと願っています。世の中の価値観に流されることなく、自身で価値観を創造し、自らの人生を主体的に切り拓いていくことのできる人材を輩出するために、私たちは最大限の努力をしていきたいと思います。